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空虚な言葉

 私は弱い。私はずるい。私はきたない。私はひとりだ。

 それをぜんぶわかっているのに、まだ生きている私は、もしかしたらとても図太い人間なんじゃないだろうか。

 他人にどうしても振り回されてしまう。私を傷つけようとしている人なんてどこにもいないのに。私を惑わそうとしている人なんてどこにもいないのに。

 私は、自分勝手な方法で人の態度を解釈し、ひとりよがりな傷つき方をする。だから、私の失望や憂鬱は、誰にも癒すことができない。私でさえ、できない。心が痛みに慣れて、鈍感になるのをただ待つしかない。

 どろんと湿った感情をどうにか言葉にしたいと思うのに、まったくうまくいかない。言葉は、ずるくて臆病だ。簡単に手に届くように見えて、指を伸ばしたとたんに、するすると逃げてゆく。掴まれてなんてやるものかと悪態をつきながら、それでも残像を残すことは忘れない。卑屈な姿は、まるで私自身のようだ。

 悔しくて、もどかしくて、涙が出る。それがまた、悔しくてもどかしい。涙なんかにしたくないのに。そんなものになって、蒸発してしまうくらいなら、きちんと言葉にして残したいのに。だけど、私の身体は楽な方を選ぶ。目から水分を垂れ流すなんていう芸のないやり方でしか、感情を表せないなんて。そして、そんな陳腐な工程で、きちんと楽になる自分に、裏切られた気持ちがする。

 私は毎日私に失望しながら生きている。

……それなのにさ。自分のことも好きになれないのにさ。

「愛してる」だって。「大事にしたい」だって。「なんでも話してね」だってさ。

 恋人や家族や友人や周囲の人間に私がかける言葉のなんと空虚なことか。自分ですら信用していない言葉を手繰って、人に投げつける。熱を込めれば込めるほど、そして相手が想いを寄せてくれればくれるほど、私はしらじらと冷えてゆく。言葉を駆使すればするほど、私が離れてゆくのがわかる。向かい合うべき相手から。自分自身の心から。

 虚しい。

 こんな虚しいやりとりを作る自分が虚しい。そうしなくちゃいけない世界が虚しい。

 それでも、言葉にすがりつくことを、誰かと一緒にいることを、やめられない私は、きっと救いようがないんだろう。

 私は、弱くて、ずるくて、きたない。

 そして、私はやっぱりひとりだ。

 

 

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